星座の神話ST-01
オリオン座の神話をわかりやすく:さそり座との関係、和名と中国の呼び名
オリオン座の神話は、狩人オリオンが死んで星になる話です。死に方には複数の言い伝えがあり、日本や中国では同じ星を別の名で呼びました。
あらすじ
この記事では、次の13項目を順に説明します。
- 結論:オリオン座の神話はどんな話?
- オリオン座の神話を子ども向けに簡単に言うと?
- オリオン座の神話でオリオンはどんな人物?
- オリオン座の神話でさそりを送ったのは誰?
- オリオン座の神話でアルテミスとアポロンは何をした?
- オリオン座の星の名前と意味は?
ほか7項目は下の目次から。
この記事の内容(13項目)
- 結論:オリオン座の神話はどんな話?
- オリオン座の神話を子ども向けに簡単に言うと?
オリオン座の神話でオリオンはどんな人物?1
オリオン座の神話でさそりを送ったのは誰?1
オリオン座の神話でアルテミスとアポロンは何をした?2
- オリオン座の星の名前と意味は?
オリオン座の和名は? つづみ星・源氏星・平家星とは?2
オリオン座は中国で何と呼ばれる? 参宿とは?1
アイヌや南半球では、オリオン座の星をどう見ている?3
- 同じ星の、地域ごとの呼び名はどう違う?
- オリオン座の神話を思い出しながら星を見るには?
- 出典
オリオン座の神話は、ギリシャの狩人オリオンが星になった話です。冬の夜空でいちばん目立つ星座の1つなので、昔から多くの話が語られてきました。
ただ、オリオンの死に方は1つではありません。さそりに刺された話もあれば、女神アルテミスの矢に当たった話もあります。
さらに、同じ星を日本や中国の人は、まったく別のものに見立てていました。
この記事で分かることは、次のとおりです。
- オリオン座の神話のあらすじ(子ども向けの短い版も)
- さそりを送ったのは誰か、話ごとの違い
- オリオン座とさそり座が同時に見えない理由
- アルテミスとアポロンの話、すばるを追う話
- 星の名前の意味と、つづみ星・源氏星・平家星などの和名
- 中国の「参宿」と、アイヌ・オーストラリア・マオリの呼び名
ポイントはここです。オリオン座の神話は「どれが正しいか」より「どこで誰が語ったか」で読むと面白くなります。
結論:オリオン座の神話はどんな話?
オリオン座の神話は、力自慢の狩人オリオンが死に、神々によって星座にされた話です。
死んだわけは、古典によって違います。大きく分けると、次の2つの系統があります。
- さそりに刺された話:大地の女神ガイアや、アルテミスが送ったさそりが刺した
- 矢に射られた話:アルテミスの矢に当たった。兄アポロンにだまされた、という形もある
どちらの話でも、オリオンは最後に星になります。さそりの話では、さそりも星座になりました。
古い文献では、さそりを送ったのは大地の女神ガイアか、アルテミスです。 日本の解説ではヘラとするものも見かけます。
オリオン座の話は、本によって筋が違って当たり前です。違いを見つけたら、どの古典の話かを確かめてみてください。
オリオン座の神話を子ども向けに簡単に言うと?
オリオン座の神話を子ども向けに言うと、「いばりすぎた狩人が、小さなさそりに負けた話」です。
むかし、ギリシャにオリオンという大きくて強い狩人がいました。オリオンは「この世の動物を、ぜんぶ狩ってみせる」といばりました。
それを聞いた大地の女神は怒り、1匹のさそりを送りました。さそりはオリオンをちくりと刺し、オリオンは死んでしまいました。
神さまの王ゼウスは、オリオンとさそりを、どちらも夜空の星にしました。
いまでも、さそり座が東から昇ると、オリオン座は西へ沈んでいきます。オリオンがさそりをこわがって逃げている、と言われています。
子どもに話すときは、冬にオリオン座、夏にさそり座を一緒に探すと、話がぐっと身近になります。
オリオン座の神話でオリオンはどんな人物?
オリオン座の神話のオリオンは、海の神ポセイドンの子とされる、体の大きな狩人です。
古代ギリシャの詩人ホメロスの『オデュッセイア』にも、オリオンは名前が出てきます。死者の国で、棍棒を手に獣を追う姿で描かれています。
オリオンは英雄というより、乱暴で力自慢の人物として語られることが多い存在です。
オリオンが目を失った話とは?
オリオン座の神話には、オリオンが目を見えなくされ、のちに治った話も伝わっています。
ヘシオドスのものとされる話では、オリオンはキオス島で酒に酔いました。そして王オイノピオンの娘メロペに乱暴しました。怒った王は、オリオンの目をつぶしました。
オリオンは、鍛冶の神ヘパイストスの仕事場へ向かいました。そこで少年ケダリオンを肩に乗せ、道案内をさせて東へ歩きました。
東の果てで太陽神ヘリオスの光を浴びると、オリオンの目は治ったと伝わっています。
オリオン座の神話でさそりを送ったのは誰?
オリオン座の神話でさそりを送ったのは、古い文献では大地の女神ガイアか女神アルテミスです。
大地の女神ガイアの話は、いちばんよく知られた形です。オリオンが「地上の獣をすべて狩る」と言ったので、大地が怒ってさそりを出しました。
この話は、エラトステネスの名で伝わる星座の本や、ヒュギヌスの『天文詩』に出てきます。ローマの詩人オウィディウスも、大地がさそりを送ったと書いています。
アルテミスの話は、詩人アラトスの『ファイノメナ』に出てきます。オリオンが狩りの最中にアルテミスの衣をつかんだため、女神がさそりを送ったとされます。
日本の星座の解説には、さそりを送ったのはヘラとするものもあります。
古代の文献の英訳をまとめた Theoi Project を見ました。さそりを送った神に、ヘラの名はありません。ヘラの形は、のちの語り直しで広まった可能性があります。
オリオン座とさそり座が同時に見えないのはなぜ?
オリオン座とさそり座は夜空のほぼ反対側にあり、同じ時刻に両方を高く見ることはまずありません。
日本から見ると、オリオン座は冬の夜の星座です。さそり座は夏の夜の星座です。
2つの星座は、空を一回りする円の上で、半分近く離れています。片方が高く昇っているとき、もう片方は地平線の下にあります。
神話はこの空のようすを、物語にして伝えています。ヒュギヌスは、さそりが昇るとオリオンが沈むように星が置かれた、と書いています。
アラトスも、さそりが東から昇るとオリオンは西の果てへ逃げる、と詠んでいます。
さそりの側から見た話や、さそり座の和名はさそり座の神話にまとめています。
さそり座の1等星アンタレスは赤い星です。冬の赤いベテルギウスと、夏の赤いアンタレスを、季節をまたいで見比べるのもおすすめです。
オリオン座の神話でアルテミスとアポロンは何をした?
オリオン座の神話の別の形では、アルテミスがオリオンを愛します。そして兄アポロンのたくらみで、自分の矢で射てしまいます。
この話は、ヒュギヌスの『天文詩』が、イストロスという書き手の説として伝えています。
アルテミスはオリオンを愛し、結婚しようと考えていました。兄のアポロンは、それを快く思いませんでした。
アポロンは、海の遠くに見える黒い点を指さしました。そして「あれを射当てることはできないだろう」と妹を挑発しました。
アルテミスが射た矢は、黒い点に命中しました。それは、海を泳いでいたオリオンの頭でした。
嘆いたアルテミスは、オリオンを星座にしたと伝わっています。日本では、月の女神アルテミスと結びつけて、悲しい恋の話として紹介されることが多い形です。
アルテミスがオリオンを射た話はほかにもある?
オリオン座の神話には、アルテミスがオリオンを射た話がほかにもいくつか伝わっています。
アポロドロスの『ビブリオテーケー』は、2つの説を並べています。オリオンがアルテミスに円盤投げの勝負を挑んだ、という説です。
もう1つは、オリオンが乙女オピスに乱暴しようとして、アルテミスに射られた、という説です。
ホメロスの『オデュッセイア』では、曙の女神エオスがオリオンを愛し、それを神々がねたみました。オリオンはアルテミスに射られたとされます。
オリオン座の神話の主な形を、表にまとめます。
| 話の形 | オリオンを死なせたもの | わけ | 出てくる古典 |
|---|---|---|---|
| さそりの話(1) | 大地の女神ガイアが送ったさそり | 「地上の獣をすべて狩る」と言った | ヘシオドス(エラトステネスの星座の本が引く)、ヒュギヌス『天文詩』、オウィディウス『祭暦』 |
| さそりの話(2) | アルテミスが送ったさそり | キオス島でアルテミスの衣をつかんだ | アラトス『ファイノメナ』 |
| 矢の話(1) | アポロンにだまされたアルテミスの矢 | アポロンが2人の仲を快く思わなかった | イストロス(ヒュギヌス『天文詩』が引く) |
| 矢の話(2) | アルテミスの矢 | 円盤投げの勝負を挑んだ/乙女オピスに乱暴しようとした | アポロドロス『ビブリオテーケー』 |
| 曙の女神の話 | アルテミスの矢 | エオスに愛され、神々にねたまれた | ホメロス『オデュッセイア』 |
オリオン座の神話と、おうし座のすばるの関係は?
オリオン座の神話には、オリオンがすばる(プレアデス星団)の姉妹を追いかける話もあります。
ヒュギヌスによると、オリオンは姉妹の母プレイオネに襲いかかり、7年も追い回しました。神々の王は姉妹を星にし、オリオンはいまもその後を追っているように見えます。
すばるは、おうし座の肩のあたりにある星の集まりです。オリオン座より西にあるので、先に昇って先に沈みます。
夜空では、すばるが逃げ、オリオンが追う形が毎晩くり返されます。 ヘシオドスの『仕事と日』にも、すばるがオリオンの力から逃げて海に沈む、と詠まれています。
オリオン座の星の名前と意味は?
| 星の名前 | 符号 | 明るさ(等級) | 体の場所 | 日本の呼び名 | 中国の呼び名 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベテルギウス | α | 0.4(変光する) | 右肩(わきの下) | 平家星(へいけぼし) | 参宿四 |
| リゲル | β | 0.1 | 左足 | 源氏星(げんじぼし) | 参宿七 |
| ベラトリクス | γ | 1.6 | 左肩 | (決まった和名は知られていない) | 参宿五 |
| アルニタク | ζ | 1.8 | ベルト(東の端) | 三つ星の1つ | 参宿一 |
| アルニラム | ε | 1.7 | ベルト(まん中) | 三つ星の1つ | 参宿二 |
| ミンタカ | δ | 2.4 | ベルト(西の端) | 三つ星の1つ | 参宿三 |
| サイフ | κ | 2.1 | 右ひざ | (決まった和名は知られていない) | 参宿六 |
出典: SIMBAD(ストラスブール天文データセンター)の V 等級
オリオン座には、1等星が2つ、2等星が5つあります。表の明るさは数が小さいほど明るく、ベテルギウスは明るさが変わる星です。
星の名前の多くは、アラビア語から来ています。ベテルギウスは「わきの下」、リゲルは「足」の意味と説明されています。
赤いベテルギウスは、狩人の右肩です。青白いリゲルは左足です。その間に、ほぼ同じ明るさの3つの星が、斜めにまっすぐ並びます。これが三つ星で、狩人のベルトにあたります。
三つ星の下には、小さな3つの星が縦に並ぶ「小三つ星」があります。狩人の腰の剣にあたり、そのまん中にはオリオン大星雲(M42)があります。
オリオン座の和名は? つづみ星・源氏星・平家星とは?
オリオン座の和名で広く知られるのは、星座の形を鼓に見立てた「つづみ星」です。
国立天文台の渡部潤一さんは、コラムで次のように紹介しています。オリオン座は和楽器の鼓(つづみ)に見立てられ、鼓星などと呼ばれていました。
まん中の三つ星のところで細くくびれ、上下に広がる形が、鼓の胴に似ているためと説明されます。
平家星と源氏星は、どちらがどの星?
オリオン座の平家星は赤いベテルギウス、源氏星は白いリゲルです。
赤と白は、源平の戦いで平家が赤い旗、源氏が白い旗を使ったことにちなむ、と説明されています。2つの星は、三つ星をはさんでにらみ合うように見えます。
渡部潤一さんのコラムでは、この呼び名は「地方によって」使われていたとされます。富山県の資料でも、ヘイケボシ・ゲンジボシの古名が伝わっていると紹介されています。
平家星と源氏星は、色の違いがよく分かる星です。双眼鏡を使わなくても、赤と青白の差は目で見分けられます。
三つ星には、地方ごとにどんな呼び名がある?
オリオン座の三つ星には、地方ごとに、暮らしの道具にちなむ呼び名がたくさん伝わっています。
星の和名を集めた野尻抱影は、手紙の中で三つ星の呼び名にふれています。群馬や福島では「サンタイボシ」と呼ぶ、という内容です。
富山県では、増田正之さんが県内の星の和名を調べ、『越中の星ものがたり』に連載しました。その中から、三つ星の呼び名を表にします。
| 呼び名 | 指す星 | 伝わっていた地域 | 見立て |
|---|---|---|---|
| サンタイボシ | 三つ星 | 群馬県・福島県 | 3つの星 |
| カラツキボシ | 三つ星と小三つ星 | 富山県氷見市灘浦。県外では北海道余市・新潟県・福井県・島根県隠岐にも | 田畑を耕す農具の「からすき」 |
| タケツギボシ | 三つ星 | 富山県入善町舟見 | (資料に説明なし) |
| サオボシ | 三つ星 | 富山県射水市小杉 | 竿 |
| ヘイケボシ・ゲンジボシ | ベテルギウス・リゲル | 富山県ほか各地 | 平家の赤旗・源氏の白旗 |
カラツキボシは、昭和54年に富山大学天文同好会が氷見市で調べて分かった呼び名です。三つ星を柄に、小三つ星を刃に見ると、からすきの形になります。
星の和名は、田畑や海で働く人が、時刻や季節を知るために使った名前です。同じ三つ星でも、農村では農具に、ほかの土地では別の物に見えていました。
ほかの星の和名と地方名は、星の和名一覧にまとめています。
オリオン座は中国で何と呼ばれる? 参宿とは?
オリオン座の主な星は、中国の星座では「参宿(しんしゅく)」と呼ばれます。
中国では、ギリシャとは別の星座の仕組みが使われてきました。大阪市立科学館の解説では、その歴史は少なくとも2,500年以上さかのぼれるとされます。
参は、月の通り道に沿って空を28に分けた「二十八宿」の1つです。二十八宿の星座なので、参宿と呼ばれます。
参宿は、三つ星と、その周りの4つの星を合わせた7つの星でできています。ギリシャの星座と違い、星には数字の番号を付けて呼びます。
- 三つ星は、東から参宿一・参宿二・参宿三
- ベテルギウスは参宿四
- リゲルは参宿七
1826年(文政9年)に出た石坂常堅の『方円星図』にも、同じ番号が記されています。この星図は、清の星表『欽定儀象考成』(1752年)をもとにしています。
ただし、古い時代には星の番号がきっちり決まっていなかった、という説もあります。
日本でも参宿の呼び名が使われていた?
日本でも、古代から江戸時代の終わりまで、天文の学者は中国の星座の仕組みを使っていました。
奈良県の高松塚古墳やキトラ古墳の天井に描かれた星々も、中国の星座の仕組みによるものです。
つづみ星や源氏星のような和名は、暮らしの中の呼び名です。参宿のような名前は、暦や天文の学問で使われた名前でした。日本には、星の名前が2つの層で重なっていたことになります。
アイヌや南半球では、オリオン座の星をどう見ている?
アイヌや南半球の人々も、オリオン座の星を、暮らしや物語に結びつけて見てきました。
アイヌの三つ星の呼び名は?
アイヌの伝承では、三つ星を「イウタニ・ノチウ」(杵の星)と呼ぶ例が記録されています。
野尻抱影の論考「アイヌ傳承の星名」によると、イウタニは穀物をつく杵、ノチウは星の意味です。三つ星が縦に一列に並ぶ姿を、杵に見たと考えられています。
同じ論考には、金田一京助が集めた「レネシクル」という呼び名も載っています。「3人」を意味する言葉を含み、3人が並ぶ姿に見立てた名とされます。
オーストラリア先住民ヨルングの話とは?
オーストラリア北部のヨルングの人々は、オリオン座を「ジュルパン」と呼びます。舟に乗った3人の兄弟の姿です。
天文学者のノリスとハマチャーの論文では、1973年に記録された話が紹介されています。
- 三つ星は、舟に並んで座る3人の兄弟
- ベテルギウスは舟の前、リゲルは舟の後ろ
- オリオン大星雲は釣った魚、小三つ星は魚につながる釣り糸
兄弟の1人は、食べてはいけない決まりの魚を食べてしまいました。そのため、太陽が3人を舟ごと空へ吹き上げたと伝わっています。
南半球では、オリオン座は日本から見るのと上下が逆さまに見えます。狩人の姿より、舟の形のほうが自然に見えるのかもしれません。
マオリではリゲルが新年の星?
ニュージーランドのマオリは、リゲルを「プアンガ」と呼びます。一部の部族は、新年の始まりを知らせる星としてきました。
マオリ語の辞書によると、プアンガは明け方の東の空で、三つ星(タウトル)の上に見える星です。
ニュージーランドの新年の星といえば、すばる(マタリキ)が知られています。一部の地方では、すばるではなくプアンガで新年を数えます。
同じ星の、地域ごとの呼び名はどう違う?
| 星 | ギリシャ・西洋 | 日本(和名) | 中国 | アイヌ | オーストラリア(ヨルング) | ニュージーランド(マオリ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| オリオン座の全体 | 狩人オリオン | つづみ星 | 参宿(主な7星) | (記録を確認できず) | ジュルパン(舟と3兄弟) | (記録を確認できず) |
| 三つ星 | 狩人のベルト | 三つ星・サンタイボシ・サオボシ | 参宿一・二・三 | イウタニ・ノチウ(杵の星) | 舟に座る3人の兄弟 | タウトル |
| ベテルギウス | 狩人の右肩 | 平家星 | 参宿四 | (記録を確認できず) | 舟の前 | (記録を確認できず) |
| リゲル | 狩人の左足 | 源氏星 | 参宿七 | (記録を確認できず) | 舟の後ろ | プアンガ(新年の星) |
| 小三つ星とオリオン大星雲 | 狩人の剣 | 小三つ星(三つ星と合わせてカラツキボシ) | (この記事では扱わない) | (記録を確認できず) | 釣り糸と魚 | (記録を確認できず) |
表のとおり、同じ三つ星がベルト・杵・舟の兄弟・農具と、まったく違う物に見立てられています。
「記録を確認できず」は、この記事を書くときに出典を確かめられなかったところです。呼び名が無かった、という意味ではありません。
3つの星が等間隔にまっすぐ並ぶ形は、どの土地の人の目にも特別に映っていた、と言えそうです。
オリオン座の神話を思い出しながら星を見るには?
オリオン座は、日本では冬の夜、南の空に見えます。神話を思い出しながら見るなら、まず三つ星を探すのが近道です。
三つ星が見つかったら、左上の赤い星がベテルギウス(平家星)です。右下の青白い星がリゲル(源氏星)です。
三つ星を右上へたどると、赤いアルデバランと、すばるがあります。左下へたどると、全天でいちばん明るい恒星シリウスに着きます。
- すばる:オリオンが追いかける姉妹
- シリウス:おおいぬ座の1等星。冬の大三角の1つ
- ふたご座:ベテルギウスの北に並ぶ2つの明るい星。双子座の神話の兄弟
- さそり座:冬の空には無い。夏の夜に南の空へ探す
街の明かりが少ない場所なら、三つ星の下の小三つ星の中に、ぼんやり光るオリオン大星雲も見えます。
オリオン座の神話でよくある質問は?
オリオン座の神話で、オリオンを死なせたのは誰?
オリオン座の神話では、話によって違います。大地の女神ガイアやアルテミスが送ったさそりとする話と、アルテミスの矢とする話があります。
オリオン座の神話でさそりを送ったのはヘラ?
古い文献では、さそりを送ったのは大地の女神ガイアかアルテミスです。ヘラとするのは、日本の解説などで見かける形です。
オリオン座とさそり座はなぜ同時に見えない?
2つの星座が空のほぼ反対側にあるからです。神話では、さそりをこわがったオリオンが逃げている、と語られます。
オリオン座の和名は?
つづみ星(鼓星)が広く知られています。ベテルギウスを平家星、リゲルを源氏星と呼ぶ地方もありました。
オリオン座の中国名は?
主な7つの星が「参宿」です。ベテルギウスは参宿四、リゲルは参宿七と呼ばれます。
オリオン座はいつ見える?
日本では冬の夜に、南の空で見やすくなります。夏の夜は太陽の近くにあるので見えません。
出典
- Theoi Project「Orion」(ヘシオドス・アラトス・ヒュギヌス・アポロドロス・ホメロスなどの英訳と出典)
- Theoi Project「Pleiades」(ヒュギヌス『天文詩』2.21、ヘシオドス『仕事と日』)
- 渡部潤一「冬空に輝く王者オリオン:青白き若き星たち」(三菱電機 DSPACE コラム「星空の散歩道」)
- Honda「星座図鑑 オリオン座」(監修:アストロアーツ)
- とやまの星の和名(増田正之『越中の星ものがたり』より。富山県の理科教育の資料)
- 坂井義人「野尻抱影・星の和名研究書簡について」(京都大学学術情報リポジトリ)
- 嘉数次人「中国星座の恒星名」(大阪市立科学館『月刊うちゅう』2021年2月号)
- 野尻抱影「アイヌ傳承の星名(上)」(『天界』242号。京都大学学術情報リポジトリ)
- Ray P. Norris, Duane W. Hamacher「The Astronomy of Aboriginal Australia」(2009年、arXiv:0906.0155)
- Te Aka Māori Dictionary「Puanga」
- 1News「Matariki or Puanga? Why location matters when marking the Māori New Year」(2024年6月26日)
- SIMBAD(ストラスブール天文データセンター):星の明るさ(V 等級)