星座の神話ST-02

さそり座の神話をわかりやすく:オリオン座との関係、釣り星・赤星の和名、中国の心宿

公開 · 執筆 星座ものがたり 編集部

案内:羽白尾 コウくんなんでも知ってる。たまに間違えたことも書く。先に謝っとく。ごめん。星座ものがたり 編集部 · 古典の英訳・博物館や天文台の資料で確認:2026-10-28
コウくん

さそり座の神話は、狩人オリオンを刺したさそりの話です。送った神は古典によって違い、日本や南の島では同じ星を釣り針に見ました。

あらすじ

この記事では、次の13項目を順に説明します。

  1. 結論:さそり座の神話はどんな話?
  2. さそり座の神話を子ども向けに簡単に言うと?
  3. さそり座の神話でさそりを送ったのは誰?
  4. さそり座とオリオン座の関係は? 同時に見えないのはなぜ?
  5. さそり座の神話は、ほかにどんな話がある?
  6. さそり座の星の名前と意味は? アンタレスの意味は?

ほか7項目は下の目次から。

星座カード『ウラニアの鏡』(1824年ごろ)のさそり座。胸のまん中にアンタレスがあり、尾は大きく曲がって針を上げている
星座カード『ウラニアの鏡』(1824年ごろ)のさそり座。胸のまん中にアンタレスがあり、尾は大きく曲がって針を上げている写真: Sidney Hall, Adam Cuerden / Public domain
この記事の内容(13項目)
  1. 結論:さそり座の神話はどんな話?
  2. さそり座の神話を子ども向けに簡単に言うと?
  3. さそり座の神話でさそりを送ったのは誰?2
    1. この節の先頭へ
    2. オウィディウスの話では、オリオンは女神を守った?
    3. さそり座の神話でさそりを送ったのはヘラ?
  4. さそり座とオリオン座の関係は? 同時に見えないのはなぜ?
  5. さそり座の神話は、ほかにどんな話がある?3
    1. この節の先頭へ
    2. パエトンの暴走とさそりの話とは?
    3. てんびん座は、もとはさそりのはさみだった?
    4. いて座がさそり座を狙っている、という話は?
  6. さそり座の星の名前と意味は? アンタレスの意味は?
  7. さそり座の和名は? 釣り星・赤星とは?2
    1. この節の先頭へ
    2. 魚釣り星・釣り星は、どこで呼ばれていた?
    3. アンタレスの和名は? 赤星・豊年星・酒酔い星とは?
  8. さそり座は中国で何と呼ばれる? 心宿・大火とは?3
    1. この節の先頭へ
    2. 房宿・心宿・尾宿は、どの星?
    3. 「七月流火」の火はアンタレス?
    4. 中国にも、オリオン座とさそり座が会えない話がある?
  9. ポリネシアでは、さそり座はマウイの釣り針?3
    1. この節の先頭へ
    2. マオリのテ・マタウ・ア・マウイとは?
    3. ハワイでは、さそり座を何と呼ぶ?
    4. さそり座は、ギリシャより前からさそりだった?
  10. 同じ星の、地域ごとの呼び名はどう違う?
  11. さそり座の神話を思い出しながら星を見るには?
  12. さそり座の神話でよくある質問は?6
    1. この節の先頭へ
    2. さそり座の神話を子ども向けに言うと?
    3. さそり座の神話でさそりを送ったのは誰?
    4. さそり座と一緒に出ない星座は?
    5. アンタレスを日本語で何という?
    6. さそり座の中国名は?
    7. さそり座はいつ見える?
  13. 出典

さそり座の神話は、ギリシャの狩人オリオンを刺し殺したさそりの話です。夏の南の空に、赤いアンタレスとS字の尾が目立ちます。

ただ、さそりを送った神は1人ではありません。大地の女神とする話も、狩りの女神アルテミスとする話もあります。

さらに、同じ星を日本の漁師や南の島の人は、魚を釣る針に見ていました。中国では、空の竜の心臓でした。

この記事で分かることは、次のとおりです。

  • さそり座の神話のあらすじ(子ども向けの短い版も)
  • さそりを送ったのは誰か、古典ごとの違い
  • オリオン座とさそり座が同時に見えない理由
  • パエトンの話、てんびん座との関係
  • アンタレスの意味と、魚釣り星・赤星などの和名
  • 中国の心宿・大火と、マオリやハワイの「マウイの釣り針」

ポイントはここです。さそり座の神話は、オリオン座の神話を裏側から読むと筋がつながります。

結論:さそり座の神話はどんな話?

さそり座の神話は、いばった狩人オリオンを1匹のさそりが刺し、神々が両方を星にした話です。

さそりを送った神とわけは、古典によって違います。大きく分けると、次の2つの系統があります。

  • 大地の女神(ギリシャ名ガイア)が送った話:オリオンが「地上の獣をすべて狩る」と言った
  • 女神アルテミスが送った話:オリオンがアルテミスの衣をつかんだ

どちらの話でも、さそりは星座になります。オリオンも空に上げられました。

古い文献で、さそりを送ったのは大地の女神かアルテミスです。 日本の解説ではヘラとする形もよく見かけます。

コウくん

さそり座の話は、オリオン座の話とセットです。冬にオリオン座、夏にさそり座を見ると、物語が1年でつながります。

さそり座の神話を子ども向けに簡単に言うと?

さそり座の神話を子ども向けに言うと、「小さなさそりが、大きな狩人をやっつけた話」です。

むかし、ギリシャにオリオンという大男の狩人がいました。オリオンは「この世の動物を、ぜんぶ狩ってみせる」といばりました。

それを聞いた大地の女神は怒りました。そこで、地面から1匹のさそりを出しました。

さそりはオリオンをちくりと刺しました。強いオリオンも、さそりの毒にはかないませんでした。

神さまの王ゼウスは、さそりもオリオンも夜空の星にしました。

いまでも、さそり座が東から昇ると、オリオン座は西へ沈みます。オリオンがさそりから逃げている、と言われています。

コウくん

小学生に話すなら、まず夏の夜に赤いアンタレスを見つけてみてください。そこがさそりの心臓です。

さそり座の神話でさそりを送ったのは誰?

さそり座の神話でさそりを送ったのは、古い文献では大地の女神か、女神アルテミスです。

大地の女神の話は、いちばん古くから伝わる形の1つです。オリオンがクレタ島で狩りをして「地上の獣をすべて殺す」と言いました。

怒った大地がさそりを出し、オリオンは刺されて死にました。この話はヘシオドスのものとして、エラトステネスの名で伝わる星座の本に引かれています。

ローマのヒュギヌスも『天文詩』で、大地がさそりを送ったと書いています。ゼウスは、さそりを戒めとして星にしたとされます。

アルテミスの話は、詩人アラトスの『ファイノメナ』に出てきます。キオス島で、オリオンがアルテミスの衣をつかみました。

女神はさそりを呼び起こし、さそりはオリオンを刺して死なせた、と詠まれています。

星座の伝承にくわしいイアン・リドパスさんは、こう整理しています。エラトステネスもヒュギヌスも、2つの話を両方とも伝えています。

話の形さそりを送った神わけ場所出てくる古典
大地の話大地の女神(ガイア/テルス)「地上の獣をすべて殺す」と言ったクレタ島ヘシオドス(エラトステネスの星座の本が引く)、ヒュギヌス『天文詩』2.26
アルテミスの話アルテミスアルテミスの衣をつかんだキオス島アラトス『ファイノメナ』、エラトステネス(さそり座の項)
女神を守った話大地の女神女神レトを狙ったさそりの前に、オリオンが立ちはだかった(書かれていない)オウィディウス『祭暦』5巻

オウィディウスの話では、オリオンは女神を守った?

さそり座の神話のうち、オウィディウスの『祭暦』では、オリオンは女神を守る側として語られます。

この話でも、オリオンは「勝てない獣はいない」といばります。大地はさそりを放ちました。

ところが、さそりが狙ったのはアルテミスの母、女神レトでした。オリオンはその前に立ちはだかりました。

女神レトは、そのほうびとしてオリオンを星の中に置いたと書かれています。同じさそりでも、オリオンが悪者にならない形もあるわけです。

さそり座の神話でさそりを送ったのはヘラ?

さそり座の神話で、さそりを送ったのを女神ヘラとする話は、日本の解説でよく見かけます。

古代の文献の英訳をまとめた Theoi Project を見ました。さそりの項に並ぶ古典の中に、ヘラの名はありません。

日本の天体観測施設の解説にも、ヘラとするものがあります。ヘラの形は、のちの語り直しで広まった可能性があります。

コウくん

本によって神さまの名前が違っていても、間違いと決めつけなくて大丈夫です。どの古典の話かを見比べると、違いそのものが面白くなります。

さそり座とオリオン座の関係は? 同時に見えないのはなぜ?

さそり座とオリオン座は空のほぼ反対側にあり、片方が昇ると、もう片方が沈みます。

日本から見ると、オリオン座は冬の夜の星座です。さそり座は夏の夜の星座です。

2つの星座は、空を一回りする円の上で、半分近く離れています。そのため、同じ時刻に両方を高く見ることはまずありません。

アラトスは、さそりが東から昇ると、オリオンは西の果てへ逃げると詠みました。ヒュギヌスも、さそりが昇るとオリオンが沈むように置かれた、と書いています。

神話は、空で起きていることを物語にして伝えています。 リドパスさんも、この話の始まりは空そのものにあるのかもしれない、と述べています。

オリオンの側から見た話は、オリオン座の神話でまとめています。

さそり座の神話は、ほかにどんな話がある?

さそり座の神話には、パエトンの暴走の話もあります。はさみがてんびん座になった話もあります。

パエトンの暴走とさそりの話とは?

さそり座の神話の1つに、太陽神の子パエトンが、さそりを見て手綱を落とす話があります。

ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』の話です。パエトンは、父の太陽神から太陽の車を借りました。

空の高いところで、パエトンは大きなさそりを目にしました。2つのはさみを、弓のように大きく曲げていました。

パエトンはおびえて手綱を落とし、馬は道をそれて暴れ出しました。こうして地上は焼けてしまった、と語られます。

てんびん座は、もとはさそりのはさみだった?

さそり座の神話のころ、ギリシャのさそりはいまより大きな星座でした。はさみの部分が、のちのてんびん座です。

リドパスさんによると、ギリシャではさそりを2つに分けて考えました。体と針の部分と、「はさみ」と呼ぶ前の部分です。

紀元前1世紀に、ローマの人々がはさみの部分を、別の星座のてんびんにしました。ヒュギヌスも、さそりのはさみが広いので2つに分け、片方をてんびんと呼ぶ、と書いています。

星座カード『ウラニアの鏡』(1824年ごろ)のさそり座。胸のまん中にアンタレスがあり、尾は大きく曲がって針を上げている
星座カード『ウラニアの鏡』(1824年ごろ)のさそり座。胸のまん中にアンタレスがあり、尾は大きく曲がって針を上げている写真: Sidney Hall, Adam Cuerden / Public domain

いて座がさそり座を狙っている、という話は?

さそり座の東どなりのいて座が、弓でさそりを狙っている、という説明は日本の解説で見かけます。

ただ、古い文献では、いて座の射手は牧神パンの子クロトスとされることがあります。今回調べた古典の英訳には、さそりを狙う筋は見つかりませんでした。

さそり座の星の名前と意味は? アンタレスの意味は?

さそり座の主な星と、日本・中国での呼び名
星の名前符号明るさ(等級)体の場所名前の意味日本の呼び名中国の呼び名
アンタレスα0.9(変光する)心臓火星(アレス)に似たもの。「火星の対抗者」とも訳される赤星・豊年星・酒酔い星など心宿二(大火)
シャウラλ1.6尾の先の針針1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)尾宿の星
サルガスθ1.9尾(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)尾宿の星
さそり座ε星ε2.3尾の付け根(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)尾宿の星
ジュバδ2.3頭のまん中額1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)房宿の星
さそり座κ星κ2.4尾(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)尾宿の星
アクラブβ2.5頭さそり1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)房宿の星
レサトυ2.7尾の先の針(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)尾宿の星
さそり座τ星τ2.8心臓の東どなり(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)心宿の星
アルニヤトσ2.9心臓の西どなり(この記事では扱わない)1つの星の和名は確認できず(S字の並び全体が魚釣り星)心宿の星

出典: SIMBAD(ストラスブール天文データセンター)の V 等級

さそり座でいちばん明るい星は、心臓の位置で赤く光るアンタレスです。明るさが少しずつ変わる星です。

アンタレスの名はギリシャ語から来ています。赤い色が火星(ギリシャ神話の軍神アレス)に似ているためです。

よく「火星の対抗者」と訳されます。リドパスさんは、星の名の研究者クニッチュの指摘を紹介しています。ギリシャ語では「火星に似たもの」とも読める、という指摘です。

アラビア語では、アンタレスを「さそりの心臓」と呼びました。一方、2世紀の天文学者プトレマイオスは、体の明るい3つの星のまん中の赤い星、と書いています。

尾の先のシャウラは、アラビア語で「針」の意味です。頭のアクラブは「さそり」、ジュバは「額」の意味と説明されています。

さそり座の和名は? 釣り星・赤星とは?

さそり座の和名で広く知られるのは「魚釣り星(うおつりぼし)」です。S字の星の並びを釣り針に見立てました。

三菱電機のコラム「星空の散歩道」が紹介しています。魚釣り星は、瀬戸内地方を中心に古くから呼ばれてきた名前です。

S字の尾の部分は、ちょうど天の川の中にあります。夏の夜、暗い場所で見ると、光の帯に針が沈んでいるように見えます。

魚釣り星・釣り星は、どこで呼ばれていた?

さそり座の釣り針の和名は、瀬戸内のほか、能登や沖縄でも記録されています。

教科書の出版社、大日本図書の「星や月」は、次の呼び名を紹介しています。

呼び名指す星伝わっていた地域見立て
ウオツリボシ(魚釣り星)S字の星の並び瀬戸内海(瀬戸内地方を中心に)釣り針
ツリボシ(釣り星)S字の星の並び能登釣り針
イユチーャブシ(魚釣り星)S字の星の並び沖縄釣り針
ヤキナマギー(焼野の釣針)S字の星の並び沖縄釣り針
タイツリボシ(鯛釣り星)アンタレスのころの空(資料に地域の記載なし)アンタレスが見えるころにタイが釣れる

タイツリボシは、星の見え方と漁の時期を結びつけた呼び名です。 和名には、暮らしの暦としての役目もありました。

季節ごとのほかの星の和名は、星の和名一覧で読めます。

18世紀の星図に描かれたさそり座。尾が天の川(Via Lactea)の中で釣り針のように曲がっている
18世紀の星図に描かれたさそり座。尾が天の川(Via Lactea)の中で釣り針のように曲がっている写真: Corbinian Thomas / Public domain

アンタレスの和名は? 赤星・豊年星・酒酔い星とは?

アンタレスは、日本では赤い色から「赤星(あかぼし)」と呼ばれました。「豊年星」「酒酔い星」の名も伝わっています。

この3つは、三菱電機のコラムが日本での呼び名として挙げています。ただし、どの地方の呼び名かは書かれていません。

地域が分かる呼び名もあります。富山県の増田正之さんの調べでは、次の2つです。

  • アカミノホッサマ:富山県黒部市生地
  • ホウネンボシ:富山県入善町舟見

ホウネンボシは「豊年星」と同じ名前です。豊作と結びつけられた星だったことがうかがえます。なぜ豊年なのか、なぜ酒酔いなのかは、今回の資料には説明がありませんでした。

コウくん

アンタレスの赤は、街なかでも目で分かります。夏に南の低い空で、ひとつだけ赤い星を探してみてください。

さそり座は中国で何と呼ばれる? 心宿・大火とは?

さそり座の星は、中国では「房宿」「心宿」「尾宿」の3つに分かれます。アンタレスは「心宿二」です。

房・心・尾は、月の通り道に沿って空を28に分けた「二十八宿」の一部です。国立天文台の暦の解説では、東の「青龍」の7つの宿に入っています。

大阪市立科学館の嘉数次人さんの解説では、アンタレスは「心宿二」と表記されます。心宿の2番目の星という意味です。

房宿・心宿・尾宿は、どの星?

さそり座の頭が房宿、心臓のまわりが心宿、曲がった尾が尾宿です。

リドパスさんの解説をもとに、表にまとめます。

中国の宿意味さそり座の星青龍の体の場所
房宿部屋頭のβ・δ・π・ρの4星腹
心宿心臓アンタレスと両どなりのσ・τの3星心臓
尾宿尾εからλ・υまでの9星尾

ギリシャのさそりの尾は、中国では竜の尾でした。 同じ曲がった星の列が、どちらの文化でも「しっぽ」に見えていたことになります。

アンタレスは古くは「火」と呼ばれました。皇帝の座にもたとえられ、両どなりの星は王子とされました。

「七月流火」の火はアンタレス?

さそり座のアンタレスは、中国の古い詩の言葉「七月流火」の「火」にあたるとされます。

新華社の記事によると、アンタレスは古代中国で「大火」と呼ばれ、季節を知る大切な目印でした。

「七月流火」は、暑さを表す言葉ではありません。大火が西へ沈んでいき、暑さが引いて秋が近いことを表す、と説明されています。

中国にも、オリオン座とさそり座が会えない話がある?

さそり座とオリオン座が会えない話は、中国にもあります。アンタレスは「商」の星、オリオン座の三つ星のあたりは「参」の星です。

中国の古い歴史書『春秋左氏伝』には、次の話があります。

伝説の帝王の高辛氏に、閼伯と実沈という2人の息子がいました。2人は仲が悪く、毎日のように戦いました。

そこで帝は、閼伯を商丘に移して「辰」の星を受け持たせました。その星が「商星」です。実沈は大夏に移され、「参」の星を受け持ちました。

新華社の記事は、アンタレスを古くは「商星」とも呼んだと紹介しています。そして、参と商は空のほぼ反対側にあり、一方が昇ると他方が沈む、と説明しています。

唐の詩人杜甫は「人生不相見、動如參與商」と詠みました。人が会えないのは、参と商のようだ、という意味です。

ギリシャでは狩人とさそり、中国では仲の悪い兄弟。 同じ2つの星座が、どちらでも「会えない2人」になっています。

ポリネシアでは、さそり座はマウイの釣り針?

ポリネシアの島々には、さそり座のS字を釣り針と見る伝承があります。英雄マウイが島を釣り上げた針です。

三菱電機のコラムも、海の国では、さそり座を釣り針に見立てることが多い、と書いています。日本の魚釣り星と、同じ見立てです。

マオリのテ・マタウ・ア・マウイとは?

ニュージーランドのマオリは、さそり座を「テ・マタウ・ア・マウイ」と呼びます。マウイの釣り針という意味です。

ウェリントン博物館群の解説によると、マウイはこの針で、海から北島を釣り上げたとされます。

海を進むと、陸地は水平線の向こうから引き上げられるように見えてきます。解説では、この話をそのたとえとしても紹介しています。

同じ解説には、季節で呼び名が変わることも書かれています。

  • 4〜6月:マナイア・キ・テ・ランギ
  • 7〜9月:テ・マタウ・ア・マウイ(マウイの釣り針)
  • 10〜11月:タマレレティの舟のへさきの一部

ハワイでは、さそり座を何と呼ぶ?

ハワイでは、さそり座の尾と針を「カ・マカウ・ヌイ・ア・マウイ」と呼びます。マウイの大きな釣り針の意味です。

マウナケア天文台群の記事は、「マーナイアカラニ」という別の呼び名も紹介しています。どちらも、マウイの釣り針を指す名前です。

日本の瀬戸内・能登・沖縄と、太平洋の島々が、同じ星を同じ釣り針に見ていました。 海とともに暮らす人の目には、S字が針に見えたのかもしれません。

さそり座は、ギリシャより前からさそりだった?

さそり座は、ギリシャよりずっと前から、さそりの姿で見られていました。

リドパスさんによると、シュメールの人々は5,000年以上前からこの星座を知っていました。呼び名は「ギル・タブ」(さそり)です。

同じ星の、地域ごとの呼び名はどう違う?

星ギリシャ・西洋日本(和名)中国マオリ(ニュージーランド)ハワイ
さそり座のS字全体オリオンを刺したさそり魚釣り星(瀬戸内)・釣り星(能登)・イユチーャブシ(沖縄)房宿・心宿・尾宿(青龍の腹・心臓・尾)テ・マタウ・ア・マウイ(7〜9月)(記録を確認できず)
アンタレスさそりの心臓。名は「火星に似たもの」赤星・豊年星・酒酔い星、アカミノホッサマ(黒部市生地)心宿二・大火・商星(記録を確認できず)(記録を確認できず)
頭の星(β・δなど)さそりの頭(記録を確認できず)房宿(部屋)(記録を確認できず)(記録を確認できず)
尾と針(λ・υなど)尾と針(シャウラ=針)釣り針の先尾宿(竜の尾)(記録を確認できず)カ・マカウ・ヌイ・ア・マウイ(マウイの大きな釣り針)

表のとおり、同じS字が、毒のさそり・竜・釣り針と、まったく違う物に見立てられています。

「記録を確認できず」は、この記事を書くときに出典を確かめられなかったところです。呼び名が無かった、という意味ではありません。

さそりの尾も、竜の尾も、釣り針も、曲がった星の列を「先の曲がった物」と見ています。 見立ては違っても、目の付けどころは同じです。

さそり座の神話を思い出しながら星を見るには?

さそり座は、日本では夏の夜、南の低い空に見えます。まず赤いアンタレスを探すのが近道です。

7月ごろの夜9時ごろなら、南の空の低いところに、赤い1等星が見つかります。それがアンタレスです。

アンタレスの右上に、縦に並ぶ3つほどの星があります。そこがさそりの頭(房宿)です。

アンタレスから左下へ、星をたどってみてください。尾が大きく曲がり、最後に針の2つの星(シャウラとレサト)が並びます。

  • 尾のあたりは天の川の中。暗い場所なら、釣り針を水に垂らしたように見える
  • 東どなりには、いて座の南斗六星がある
  • オリオン座:夏の夜の空には無い。冬の夜に南の空へ探す
コウくん

尾は地平線に近く、建物に隠れがちです。南の空が開けた海辺や高台だと、S字の全体が見えます。

さそり座の神話でよくある質問は?

さそり座の神話を子ども向けに言うと?

いばった狩人オリオンを、大地の女神が送った小さなさそりが刺した話です。ゼウスが両方を星にしたので、いまも空で追いかけっこをしています。

さそり座の神話でさそりを送ったのは誰?

古い文献では、大地の女神(ガイア)か女神アルテミスです。ヘラとするのは、日本の解説などで見かける形です。

さそり座と一緒に出ない星座は?

オリオン座です。2つは空のほぼ反対側にあり、神話では、さそりをこわがったオリオンが逃げていると語られます。

アンタレスを日本語で何という?

赤い色から「赤星(あかぼし)」と呼ばれました。豊年星・酒酔い星の名もあり、富山県黒部市生地ではアカミノホッサマと呼ばれていました。

さそり座の中国名は?

さそり座の星は房宿・心宿・尾宿に分かれます。アンタレスは心宿二で、古くは大火とも呼ばれました。

さそり座はいつ見える?

日本では夏の夜に、南の低い空で見やすくなります。冬の夜は太陽の近くにあるので見えません。

出典

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